2024/05/15
  • IT転職
  • タグ1
  • タグ2

高還元SESとは?その実態とメリット・デメリットやチェックポイントを紹介

「SESで給料を上げていきたい……」
「還元率の高いSESの常駐先は実際どうなの?」

このように感じる方は、高還元SESに興味を持っているかもしれません。

しかし、必ずしも高還元SESに転職すれば給料が上がるわけではないため注意が必要です。

そこで本記事では、高還元SESのメリット・デメリットやチェックポイントを解説します。高還元SESに転職するべきか迷っている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

高還元SESとは

高還元SESは、一般的なSESよりも報酬還元率が高い企業を指します。

SESは受注単価からマージン(仲介手数料)を抜かれるため、「給料が低い」という不満の声も多いです。

そういった給料面に不満のある方は、高還元SESを目指すのがいいでしょう。

では具体的にどれくらいの報酬還元率だと高還元になるのか、以降で詳しく解説します。

報酬の還元率が70%以上と高い

高還元SESの報酬還元率は、70%以上が相場です。

例えば、案件単価が80万円だった場合、一般的には以下の金額が還元報酬となります。

80万円×0.7=56万円

通常のSESは50%程度であるため、還元率の高さがうかがえます。

還元率の算出方法における考え方

SESの還元率がどのように算出されるのかというと、以下の計算式が一般的です。

「還元率=(給与+経費+その他福利厚生など)÷案件単価×100」

ただし、この計算方式は一般論であり、実際の設定は企業によって異なります。

また同じ還元率でも「経費には何を含むのか?保険や待機期間の給与も含むのか?」で、実際に受け取れる給料は変動します。こうした違いは把握しておきましょう。

高還元の理由は企業努力

「なぜ高い還元率を提供できるのか?」というと、それは企業が努力を重ねた結果です。

例えば、バックオフィスの効率化で固定費削減、自動システム導入による人件費の削減など、徹底したコストカットの取り組みにより、エンジニアにわたる給料が多くなっています。

経営者が「社員にもっと給料を渡したい」という心情によるものですので、素晴らしい取り組みと言えるでしょう。

ただ、「高還元SESで働くときの注意点」で解説しますが、この徹底したコストカットによる悪影響もあります。

高還元SESで働くメリット

高還元SESで働くメリットは、以下の3つです。

  1. 給料が上がりやすい傾向にある
  2. モチベーションを維持しやすい
  3. 自由度の高い案件や働き方を選べる

順番に解説します。

1.給料が上がりやすい傾向にある

高還元SESは、給料への還元率が高いです。

一般的なSESは50%程度であるのに対して、高還元SESは70%以上がエンジニアの給料になります。

例えば、90万円の案件単価を受注したとしましょう。単純計算で以下の通りです。

  • 通常のSES:90万円×0.5=45万円
  • 高還元SES:90万円×0.7=63万円

このように給料の違いは一目瞭然でしょう。

2.モチベーションを維持しやすい

給料が高いことで、エンジニアはモチベーションを維持しながら働けます。

また会社がどれだけマージンを抜いているのかがわかるため、給料に対する納得感も得やすい環境になっています。

3.自由度の高い案件や働き方を選べる

一般的なSESは、営業担当者が案件を選択しますが、高還元SESはエンジニア本人が案件を選ぶことが多いです。

案件の中には、リモートワークや時短勤務に対応しているものもあり、そういった案件を選べばフリーランスのような働き方も実現できます。

「フリーランスの自由な働き方には憧れるけど、仕事が不安定だから踏み出せない」という方にはおすすめな働き方と言えます。

高還元SESで働くときの注意点

高還元SESで働くデメリットや注意点は、以下の4つです。

  1. 必ずしも給与が高いとは限らない
  2. 会社の倒産リスクが高くなる
  3. 営業サポートが薄い可能性がある
  4. 企業ごとに還元率の算出方法が異なる

順番に解説します。

1.必ずしも給与が高いとは限らない

高還元SESは、給料が高い傾向があるとお伝えしました。

しかし、すべての企業に当てはまるわけではありません。というのも、還元率が高くても「案件そのものの単価が低い場合」は給料も低くなってしまうからです。

例えば以下の通り。

  • 単価80万円×還元率55%=給料44万円
  • 単価60万円×還元率70%=給料42万円

このように、還元率が高いからといって給料が高いとは言い切れません。

また、経費がどこまで還元率に入っているのかで、最終的に差し引かれる金額が変動します。あくまでも最終提示金額を確認するようにしてください。

2.会社の経営破綻リスクが高くなる

エンジニアへの還元率が高いのは、魅力に感じるでしょう。その一方で、経営破綻リスクは危惧しなければなりません。

というのも、「給料が高い=会社の利益を無理に削っている」状態の可能性もあるからです。

高還元率は「徹底的なコストカット」で実現しているわけですが、業績が悪化してしまうと打つ手がないために倒産へ追い込まれてしまう可能性があります。特に優秀なエンジニアを集めるために無理をしている会社には注意が必要です。

3.営業サポートが薄い可能性がある

高還元SESは、営業のサポートが薄い傾向にあります。

高還元を実現するために、営業担当者の人数を絞っている企業も多いからです。また、すべての企業ではありませんが、そもそも営業担当がいない場合もあります。

そのため、案件を受注するには、エンジニア自身が営業しなければならないケースも少なくないのです。

営業担当者がいないことで「案件を受注できない」というリスクもありますので、一定のスキルや経験がない方には向いていません。

4.企業ごとに還元率の算出方法は異なる

SESの還元率には、明確なルールが存在しません。

そのため、同じ還元率の企業でもエンジニアが受け取る給料に差が生まれるのです。

特に「交通費・社会保険料・賞与をどれだけ含むか」は、その企業ごとに大きく違いますので、安易に還元率だけで判断するのはおすすめしません。

こちらも同じく、あくまでも最終的に提示される金額で判断するようにしましょう。

高還元SESに求められるスキル

高還元SESには、どのようなスキルが求められるのでしょうか。

具体的には以下の3つです。

  1. 自走力
  2. 設計スキル
  3. リーダースキル

順番に解説します。

1.自走力

自走力とは、他の人のヘルプに頼らずシステム開発を進められる力のことです。

例えば、わからないことやトラブルに遭遇したときでも、調べたり、質問したりして自ら解決できるような人材が求められます。

すぐにヘルプに頼ってしまう人材ばかりでは、それだけ雇用人数を増やさないといけなくなります。高還元SES企業は少数精鋭であることが重要であるため、自走力は欠かせないスキルなのです。

2.設計スキル

設計スキルも求められます。というのも、高還元SESは単価連動型の給料であるケースが多いからです。

一般的なSES企業では在籍年数で給料ベースが上がっていきます。しかし、単価連動型の給料では案件の単価がすべてとなります。勤続年数だけでは上がっていきません。

コーディングのみの仕事は単価が低いため、設計スキルのないエンジニアが高還元SES企業に転職しても稼ぎにくくなるだけなのです。

設計スキルは、同じ案件に長く携わることで身につけられますので、高還元SESに転職を検討している方は意識してみてください。

3.リーダースキル

リーダースキルも重要な要素です。

設計スキルと同様、単価連動型で給料が決まる高還元SESでは「コーディング以外のスキル」を身につける必要があります。

リーダー経験は、そう簡単にできるものではありません。

とはいえ「他の人に仕事を振ったことがある」程度でもアピール要素になりますので、機会があれば行動してみましょう。

高還元SESの求人を探すときのポイント

SESとして給料を上げていきたいなら、高還元SESを目指すのは有効な手段です。しかし、必ずしも満足の行く求人が見つかるとは限りません。

そこで、高還元SES求人を探すときのポイントを4つ紹介します。

  1. 還元率の算出方法を確認する
  2. 高還元率を実現できている背景を見る
  3. 案件の受注先をリサーチする
  4. 自分で案件を選択できるかを確認する

順番に見ていきましょう。

1.還元率の算出方法を確認する

還元率を算出する計算式は、企業によって異なります。

特に「賞与・交通費・社会保険料・福利厚生などの経費をどこまで含めているのか」で手取り額に差が生まれるため注意が必要です。

「経費を引かれすぎて前職とあまり給料が変わらない」「求められるスキルを考えたら前職の方が良かった……」なんて事態も考えられますので必ずチェックしましょう。

2.高還元率を実現できている背景を見る

企業の中には、エンジニアのために無理をしているところもあります。

エンジニアを思う経営者の気持ちが垣間見えますが、会社に利益がないと業績悪化で倒産してしまうリスクが高まります。

フリーランスのエンジニアも多い中、会社員の選択をしているのは「安定性」を重視しているからではないでしょうか。

そのため、高還元率を実現できている背景にも注目する必要があります。

3.案件の受注先をリサーチする

SESの給料は、還元率だけでなく「案件の単価」も重要であるとお伝えしました。

しかし、高い還元率を誇っていても、単価そのものが低い場合は、受け取る給料が少なくなってしまいます。

案件の受注先に大手が含まれていると高単価案件も期待できますので、必ずチェックするようにしましょう。

4.自分で案件を選択できるか確認する

自分で案件を選択できるかも重要です。

というのも報酬が高くても、自分に合わない仕事だと長続きしないからです。

仕事は給料だけでなく「働きやすさ」も大切な要素であるため、エンジニア本人が案件を選べる環境が良いでしょう。

まとめ:高還元SESは報酬面以外に働きやすさなども確認しよう

高還元SESは、報酬面で優遇される傾向にあります。

ただ、還元率をどのように計算するかは、その企業ごとに異なります。必ずしも給料が高いとは限りません。

また、高還元を実現するために営業のサポートを薄くしていたり、常に倒産リスクを抱えながら経営していたりする企業もあります。そのため、高還元SESに興味があるなら、報酬面以外も確認しましょう。

なお、SESの働き方や仕事選びにお悩みの方は、無料公式LINEにてご相談を受け付けています。

SESやIT系職業に関する情報発信もしており、いつでも途中解約可能です。興味のある方は、ぜひお気軽にご活用ください。