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SESを退職したい!手順やよくある理由・スムーズに辞める秘訣も解説
この記事の内容
SESは、客先常駐の働き方であるため、退職の手順に悩まれるかもしれません。
「どのタイミングで退職すればいいの?」「誰に伝えればいいの?」「スムーズに辞められるの?」など、わからないことだらけで一歩を踏み出せない方もいるでしょう。
そこで本記事では、SESをスムーズに辞めるための退職手順を解説します。転職を成功させるポイントもお伝えしますので、今の会社を辞めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
SESを退職する手順5ステップ
SESを退職する際は、以下の5ステップでスムーズに進められます。
- 就業規則を確認する
- 転職先を決めておく
- 自社の上司に退職の意思を伝える
- 後任者への引き継ぎ作業をする
- 退職の手続きを済ませる
順番に解説します。
ステップ1.就業規則を確認する
SESを退職したい場合、まずは自社の就業規則を確認しましょう。
就業規則には「退職の旨は◯ヶ月前に伝えること」や退職届けのフォーマットの有無など、退職に関するルールが記載されています。
企業によって規則は異なるため、確認せずに退職手続きを進めると、退職金を受け取れなかったり、余計な手続きが増えたりなど、トラブルに発展する場合もありますので注意してください。
ステップ2.転職先を決めておく
SESを退職する際は、あらかじめ転職先を決めておくのがおすすめです。退職前に転職先を決めておくと、以下の恩恵があります。
- 退職への迷いがなくなる
- 精神的に安定する
- 引き止められた際にも退職の意思がブレない
- 金銭面の不安がなく焦らずに仕事を探せる
会社に退職の意思を伝えるのは、誰しも緊張するものです。その緊張からなかなか一歩を踏み出せず、ズルズルと時間だけが過ぎるのは退職希望者のあるあるです。
しかし、先に転職先を決めておけば、ある種の使命感が生まれるため退職を伝えやすくなるでしょう。また、引き止めにあった際も心が揺らがずに意思を貫けます。
特に大きな恩恵となるのが、焦らずに転職活動できる点です。退職後に転職活動をすると「仕事が決まらずに貯金が尽きたらどうしよう」という不安から、焦って仕事を決めてしまい、ブラック企業に入社してしまう可能性があります。
早めにアクションを起こして、転職先を決めてから退職したほうが大変な思いをせずに済みます。
ステップ3.自社の上司に退職の意思を伝える
SESの退職の意思は「自社の上司」に伝えましょう。
自社の上司に伝えれば「上司→営業担当者→現場責任者」と連絡が進んでいきます。自身から営業担当者や現場責任者に連絡するのもありですが、まずは自社の上司を優先して伝えるのがマナーです。
退職の意思は直接口頭で伝えるのが望ましいですが、SESは自社の人間と会うのが難しい場合がほとんどでしょう。そのため、チャットやメールで伝えても問題ありません。
チャットやメールで退職の意思を伝える際の例文は、以下の通りです。
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件名:退職に関するご相談
お疲れ様です。(氏名)です。
突然のご連絡で申し訳ありませんが、◯月を目処に、会社を退職させていただきたいと考えております。
こちらの都合で大変恐縮ですが、今後に関しましてご相談させていただきたく存じます。
何卒よろしくお願い申し上げます。
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ステップ4.後任者への引き継ぎ作業をする
退職することが決まったら、担当現場にて後任者の引き継ぎ作業をします。
引き継ぎを行わないと、常駐先に迷惑をかけるだけでなく、退職後に連絡を受ける場合もあります。悪い噂が回って、今後の仕事に支障が出る可能性もあるため、引き継ぎは丁寧に行いましょう。
主な引き継ぎの内容は、以下の通りです。
- 業務内容
- 業務の進め方
- 顧客企業や担当者の情報共有
すべての引き継ぎを終えたら、クライアントに担当者変更の挨拶などを行います。引き継ぎの内容や手順は、企業や案件ごとに異なるため、事前に確認してから行いましょう。
ステップ5.退職の手続きを済ませる
後任者への引き継ぎを終えたら、いよいよ退職の手続きを済ませる手順です。会社や上司から案内があるはずですので、それに従います。
主な手続き内容は、以下の通りです。
- 退職届の作成と提出
- 会社から貸与されているものの返却
- 離職票や源泉徴収票など必要書類の受け取り
離職票や源泉徴収票などの書類は、転職先や役所に提出しなければなりません。会社規定の退職手続きを守らずに辞めてしまうと、会社が書類発行を忘れて受け取り損ねてしまう可能性があります。
スムーズに転職を進めるためにも、必ず手続きを済ませてから退職しましょう。
SESを退職する前に完了させておきたいこと
SESを退職する際は、以下の2つの計画を立てることでトラブルを避けられます。
- 転職の計画
- 有給取得の計画
順番に解説します。
1.転職の計画
SESを退職する手順でも解説しましたが、転職先を決めず退職してしまうと、収入面の不安から間違った会社を選びがちです。よって、よほど精神的に追い詰められていない限り、在職中に転職活動を済ませておきましょう。
転職活動の流れは、以下の通りです。
- 転職のスケジュールを立てる
- 自己分析をして転職の軸を決める
- 業界や企業分析をして求人情報を収集する
- 応募書類の作成・面接対策を行う
- 実際に応募して転職活動を始める
転職活動で特に大切なのが「自己分析」です。自己分析ができていないと、次の転職先でも現在と同じ失敗を繰り返す可能性があります。
そのため、「自分がなぜ今の会社を辞めたいのか?」「絶対に譲れない条件は何か?」などを明確にしておくのがおすすめです。
もし自己分析を含めた転職活動に不安がある場合は、無料の転職支援サービスに相談するといいでしょう。
2.有給取得の計画
有給休暇がある場合は、事前に取得スケジュールの計画を立てましょう。
すでに転職が決まっている場合は、その入社日を迎える前に有給休暇を消化しなければなりません。
後任者への引き継ぎ業務もありますので、退職を伝える際に上司と相談して、最適なスケジュールを組みましょう。
なお、有給休暇は以下の条件を満たしていれば付与されています。
- 雇い入れ日から6ヶ月経過している
- その期間の全労働日の8割以上出勤している
参照:厚生労働省
ケースとしては珍しいですが、もし上司や常駐先から有給取得を拒否された場合は、労働基準監督署に相談しましょう。企業への指導や是正勧告に動いてくれる可能性があります。
SESの退職でよくある7つの理由
SESを退職するべきか迷われている方もいるかもしれません。
そこで、SESの退職でよくある理由を7つをまとめました。
- 給料が上がりにくい
- 希望するスキルアップが見込めない
- 下請けの仕事でやりがいを感じにくい
- 人間関係や職場環境が安定しない
- 常駐先の当たり外れが大きい
- 自社からの支援をほとんど得られない
- 年齢を不利に感じやすい
上記のどれか一つにでも当てはまっているのなら、転職を考えてもいいかもしれません。
なお、それぞれの退職理由の詳細は別記事にて解説していますので、興味があればあわせてご覧ください。
SESをスムーズに退職する2つのポイント
退職する際に、しつこい引き止めにあったり、後味悪く辞めることになったりする可能性もあります。
そこで、SESをスムーズに退職するための2つのポイントを紹介します。
- 退職理由を明確にする
- 最低でも退職日の1ヶ月前には伝える
順番に見ていきましょう。
ポイント1.退職理由を明確にする
まずは、退職理由を明確にしておきましょう。
退職理由が曖昧なままでいると、上司からの引き止めに心が揺らいでしまう可能性があります。
例えば「給料を増やすように会社に掛け合ってみる」「近いうちに昇格させる」といった具合です。
「待遇が変わるなら残ってもいいかも」なんて思うかもしれませんが、こういった引き止めの言葉は必ず果たされるとは限りません。逆に、一度退職を考えた社員という事実から、雑に扱われる可能性も考えられますので、甘い引き止め文句にも動じない姿勢を作りましょう。
なお、退職のきっかけを待遇や人間関係などネガティブな理由にしてはいけません。しつこい引き止めにあうだけでなく、退職まで気まずくなるからです。
退職理由は、「やりたいことを見つけた」「キャリアアップを目指す」など、たとえ建前でもポジティブな要素で伝えるのがおすすめです。
ポイント2.最低でも退職日の1ヶ月前には伝える
退職の意思を伝えるタイミングは、最低でも退職日の1ヶ月前までがマナーです。
民法第627条では、「2週間で退職可能」と定められていますが、引き継ぎ期間を考慮すると迷惑をかけてしまう可能性があります。また、会社の就業規則を確認すると「1〜3ヶ月前までに申し出ること」と記載されているのが一般的です。
まずは「就業規則を確認してその期日までに退職を伝える」「記載がない場合でも最低1ヶ月前まで、できることなら2〜3ヶ月前に伝える」とスムーズに退職が進められるでしょう。
SESの退職からスムーズに転職する3つのポイント
続いて、SESの退職からスムーズに転職する3つのポイントを解説します。
- キャリアプランを考える
- 自分のアピールポイントを作る
- 企業研究を徹底する
順番に見ていきましょう。
ポイント1.キャリアプランを考える
まずは現状の不満や身につけたスキル、理想の将来像などを踏まえて、キャリアプランを考えてみましょう。
キャリアプランが明確になれば、転職活動の方向性が定まるため、自分に合った求人を探しやすくなります。
例えば、「今のSESはスキルが身につかないから辞めたい」といった場合は、SESの上流工程にあたるSler企業を狙う、少しの間IT転職は控えてオンラインスクールに通うなどの選択肢が生まれます。
「SESの働き方に不満はないけど、給料を上げたい」という場合は、今よりも還元率の高いSES企業に移るだけで済むかもしれません。長期視点で「給料は大して変わらなくても、今はスキルが身に付く職種に就ければいい」という考えが生まれることもあります。
なお、SESからの転職先は以下の記事で解説していますので、キャリアプランを考える際の参考にしてください。
ポイント2.自分のアピールポイントを作る
キャリアプランを決めたら、次は自分のアピールポイントを作りましょう。
アピールポイントの例は、以下の通りです。
- コミュニケーション能力が高い
- ユーザー視点で物事を考えられる
- リーダーやマネジメント経験がある
自分のアピールポイントが思いつかない場合は、今まで担当してきた業務を振り返るのがおすすめです。「どんな成果をあげたのか」「そこからどんな気づきがあったのか」などを振り返れば浮かび上がってくるでしょう。
アピールポイントが明確になれば、書類選考や面接での評価が上がりやすくなりますので、ぜひ積極的に考えてみてください。
ポイント3.企業研究を徹底する
キャリアプランとアピールポイントを明確にしたら、企業研究を徹底的に行いましょう。
企業研究をせずに転職を決めてしまうと、「自分の思っていた会社と違った」とミスマッチが起こる可能性があるからです。ミスマッチが起こると、再び苦痛な時間を過ごすだけとなります。
また、すぐに退職をすると、次の採用担当者が「この人はまたすぐに辞めるのではないか」と不安を感じてしまいます。そうなると転職活動に悪影響となり、自身のキャリアプランが崩れてしまうかもしれません。
そのため、SESから転職を目指すなら、求人票の情報だけでなく、企業研究もしっかり行った上で進路を決めるのが大切です。
SESを退職する際によくある疑問
ここからは、SESを退職する際によくある疑問にお答えします。
以下に、自身が感じる悩みがあれば参考にしてください。
- SESはプロジェクト途中の退職はできる?
- SESは退職の意思を誰に言うべき?
- SESは退職の意思をメールで伝えるのはあり?
- SESの退職でトラブルを防ぐ最適なタイミングはいつ?
- SESの退職で常駐先から損害賠償されることはある?
- SESを1年で辞めるのはどうなの?
順番にお答えします。
SESはプロジェクト途中の退職はできる?
SESはプロジェクトや契約期間の途中でも退職可能です。
SESの契約は「企業間同士の約束」であるため、社員は途中退職しても問題ありません。民法第627条でも「いつでも解約の申し入れができる」「解約の申し入れ2週間を経過すれば終了可能」といった内容が記載されています。
参照:民法第627条
ただし、2週間でいきなり退職するのは、常駐先に迷惑をかける可能性が高いです。そのため、途中で退職したい場合は、1〜3ヶ月前に申し入れ、しっかり引き継ぎを行ってから辞めるのがおすすめです。
SESは退職の意思を誰に言うべき?
SESの退職意思は、「自社の上司」に伝えましょう。
自社の上司に伝えれば、営業担当者や現場責任者へと伝達されていきます。常駐先で働いていると勘違いしがちですが、SESの雇用主はあくまでもSES企業ですので、まずは自社の上司に伝えましょう。
SESは退職の意思をメールで伝えるのはあり?
SESの退職は、メールで伝えても問題ありません。
企業によっては「電話や直接口頭で申し出ること」のように規定があるケースも見られるでしょう。とはいえ、基本は就業規則に記載がなければメールで構いません。
そもそも、客先常駐で働くSESは自社の上司や人事と会うことが少ないですし、メールで伝えることが一般的です。メールはやり取りの記録も残るため、トラブル防止にもなるのでおすすめです。
SESの退職でトラブルを防ぐ最適なタイミングはいつ?
SESを退職するベストなタイミングは、プロジェクト終了時や契約期間の満了時です。
プロジェクトや契約がひと段落着いたタイミングであれば、引き継ぎもスムーズに進むためトラブルなく退職できるでしょう。上司や常駐先もすんなりと受け入れてくれる可能性が高いです。
ただし、転職先が決まっている場合は、転職先の意向を取り入れた上で退職日を調整しましょう。内定をもらっても「入社は半年後」となれば印象が悪いですし、最悪の場合は内定取消しとなる可能性があるからです。
転職先がすでに決まっている場合は、内定日から1ヶ月後を目処に退職日を設定するといいでしょう。
SESの退職で常駐先から損害賠償されることはある?
SESの退職で損害賠償をされることはありません。
労働基準法第16条にて「損害賠償を予定する契約をしてはならない」と定められているため、企業が社員に損害賠償を請求することは違法となります。
参照:労働基準法第16条
退職の引き止めで損害賠償の話を持ち出されても、気にする必要はありません。
SESを1年で辞めるのはどうなの?
SESは、1年で辞めても大きな問題はありません。なぜなら、今は少子化の影響で労働力不足に悩む企業が多いからです。
特にIT業界は、深刻な人材不足(2024年時点で173,240人)に陥っています。1年でもSESとして働いた経験は重宝されるでしょう。
ただ、1年以内の転職を何度も繰り返していると、企業への忠誠心を疑われるために再就職の難易度に悪影響となる可能性があります。
SESから転職をする際は、在職中にじっくり転職活動をし、なるべく早期転職とならない企業を選ぶのがおすすめです。
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SESから転職を成功させるには、キャリアプランと自己アピールのポイントを考え、自分に合う企業を選択するのが重要です。
しかし、「1人ではどのように転職活動を進めればいいかわからない」と悩む方も多いでしょう。
そこで、SESからIT職種への転職を目指す方は、ぜひオタク転職をご利用ください。オタク転職では、年間200人以上のITエンジニア・プログラマーの転職を支援しております。
もちろん、転職するかまだ決めきれていない方の相談も大歓迎です。会員登録不要で求人検索のみ利用もできますので、ぜひお気軽にご利用ください。
まとめ:SESの退職は適切な手順で済ませよう
あらためて、SESにおける退職の手順を振り返りましょう。
- 就業規則を確認する
- 転職先を決めておく
- 自社の上司に退職の意思を伝える
- 後任者への引き継ぎ作業をする
- 退職の手続きを済ませる
SESを退職する際に、特に重要なのが「転職先を決めておく」ことです。
退職後に転職活動をすると、日を追うごとに減っていく貯金額に不安を感じて、自身の理想とはかけ離れた転職先を選びがちになります。
そういった転職失敗を避けるためにも、できるかぎり在職中に転職活動を進めておきましょう。
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