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SES企業・客先常駐の見分け方10選!応募前に確認すべき項目をプロが解説
この記事の内容
「エンジニアに転職したいけど、SES企業との見分け方がわからない……」
「悪質なSES企業には入りたくない……」
このような方は多いかもしれません。しかし、実はSES企業でも優良企業はたくさん存在します。一部の企業のせいで悪い評価が先行していますが、エンジニアの第一歩としてSESは悪くない選択肢です。
とはいえ、SESの客先常駐で働くやり方が合わない方も一定数いるでしょう。そこで本記事では、SES企業・客先常駐の見分け方をまとめました。
SES企業で働くメリットやホワイト企業の見分け方もお伝えしますので、エンジニア転職を検討している方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
SES企業・客先常駐の見分け方10選
応募する企業がSESかどうかは、以下の10項目で見分けられます。
- システム・エンジニアリング・サービスと書かれてある
- 勤務地・勤務時間が決められていない
- 必須スキルの記載が曖昧になっている
- 帰社日がある
- 取引先がIT企業しかない
- 社員数に比べてオフィスが小さい
- オフィスで働いている写真がない
- ビジネスパートナー(協力会社)を募集している
- エンジニアを大量募集している
- 契約社員としてエンジニア募集している
それぞれ詳しく解説します。
1.システム・エンジニアリング・サービスと書かれてある
SESとは、System Engineering Service(システム・エンジニアリング・サービス)の略称です。記載がある場合は、間違いなくSESと言えます。
なお、以下の記載がある場合もSESです。
- 客先常駐
- 提携先企業開発業務
- 一般派遣事業者
まずは事業内容を確認しましょう。
2.勤務地・勤務時間が決められていない
SESは、客先企業に派遣されてエンジニア業務を行う働き方を指します。
勤務地や勤務時間は客先企業によって変動するため、求人表に明記できないのです。そのため、以下のように記載がされています。
勤務地(例) | 勤務時間(例) |
---|---|
首都圏東京23区 | 客先(クライアント)に準ずるプロジェクトによって異なります |
3.必須スキルの記載が曖昧になっている
必須スキルが曖昧な場合も、SESと見ていいでしょう。
勤務地・勤務時間と同じく、必要なスキルも客先企業によって異なるからです。
SES企業の場合は「何らかの言語スキル」「開発経験者」など、必須スキルが明確に記載されていません。
4.帰社日がある
客先に派遣されて働くSESは、求人票に帰社日が記載されているケースがほとんどです。
帰社日は、SES企業の社員が近況報告や社内交流をするために設けられています。普段、常駐先の企業で働いていると、自社への帰属意識が薄れてしまいがちです。つまり、離職を防ぐために、ほとんどのSES企業は月1回程度の帰社日を設定しています。
とはいえ、帰社日のないSES企業も一定数存在しますので、参考程度にしてください。
5.取引先がIT企業しかいない
取引先がIT企業しかないのも、SES企業の特徴です。
IT業界は「元請け→2次請け→3次請け……」といった多重下請け構造になっています。SES企業は多重下請け構造の最深部にあたるケースが多い、つまり同じようなIT企業から仕事を請け負っているのです。
そのため、取引先はIT企業しかありません。取引先の一覧は、企業のホームページに記載されていることが多いので確認してみてください。
6.社員数に比べてオフィスが小さい
SESの社員は客先常駐で働くため、自社で広いオフィスを構える必要がありません。そのため、余計な固定費をかけないためにも、オフィスは小さいほうが好ましいです。
例えば、オフィスが「マンションやアパートの1室」や「レンタルスペースやシェアオフィス」である場合は、SESと見ていいでしょう。
オフィスの広さはインターネットやGoogleマップで確認できます。
7.オフィスで働いている写真がない
公式ホームページに、オフィスで働いている写真がないのも特徴と言えます。
普段は客先常駐で働いているため、オフィスで働く風景が撮れません。そのため、以下のような写真がよく掲載されています。
- オフィスの入り口
- 会議室
- 社員旅行
- 研修
- 飲み会
- バーベキュー
- フリー画像
会議室で「働いている風の写真」を掲載する企業もあるため、写真だけでは見分けにくい点もありますが、ひとつの参考にはなるはずです。
8.ビジネスパートナー(協力会社)を募集している
SES企業は、エンジニアを常駐させるほど利益が生まれます。
案件情報が多いほどエンジニアをアサインしやすくなりますので、常にビジネスパートナー(協力会社)を募集しているのも特徴です。
自社開発やSlerでも募集しているケースはありますが、ほとんどの場合はSES企業なので見分けるひとつの指標になります。公式ホームページをチェックしてみてください。
9.エンジニアを大量募集している
SESは、1人でも多くのエンジニアを常駐先に派遣することで利益が増えます。
また、下流工程の案件が多いことから、実績を積んだエンジニアは単価アップやスキルアップを求めて転職してしまうことも多い業界です。そのため、SES企業は大量のエンジニアを募集する傾向にあります。
大企業や事業拡大をする企業の可能性もありますが、エンジニアの募集人数も合わせてチェックしておくといいでしょう。
10.契約社員としてエンジニア募集している
契約社員で募集されているのも、SESの特徴と言えます。
SESは客先企業とマッチングしないエンジニアを抱えていても赤字になるだけです。そのため、「まずは契約社員から」といわゆるお試し採用をする傾向にあります。
ただし、正社員募集でも「試用期間中は契約社員扱い」とする企業も中にはあるので、「正社員募集=SES以外の企業」というわけでもありません。他の項目と合わせて判断しましょう。
SES企業・客先常駐を見分ける際のポイント3つ
正直、SES企業・客先常駐かどうかを求人票だけで判断できない場合もあります。
もし求人票でわからない場合は、以下3つの方法がおすすめです。
- 企業のホームページを確認する
- 口コミサイトを参考にする
- ITに特化した転職エージェントを利用する
それぞれ解説します。
ポイント1.企業のホームページを確認する
企業のホームページには、求人票では確認できない情報が掲載されています。
- 事業内容の詳細
- 社内の雰囲気がわかる写真
- 取引先の企業一覧
例えば、上記の情報はホームページで確認できる場合がほとんどです。求人票とあわせて確認すれば見分けやすくなります。
また、企業理念も確認できますので、企業の理解を深めたい方にもおすすめです。
ポイント2.口コミサイトを参考にする
口コミサイトでは、その企業で働く現役の社員、もしくは働いていた社員のリアルな声を確認できます。
口コミの内容からSES企業であるかどうかを割り出せますし、その企業がどんな雰囲気なのかもある程度わかるのでおすすめです。「企業名+口コミ」「企業名+評判」などと検索してみてください。
ただ、SES企業かどうかの判断材料にするのは問題ありません。しかし、その企業がブラック企業かどうかの判断をする際は、あまり鵜呑みにしないほうがいいです。
口コミはストレス発散の吐口になりやすい性質上、どうしてもマイナス意見が目立ちますし、匿名投稿であることから誇張されている可能性もあります。
また、ライバル企業の社員による嘘の口コミである可能性も考慮しなければなりませんし、逆に自社の社員によるサクラ投稿もあるかもしれません。
口コミサイトは、あくまでも参考程度にとどめましょう。
ポイント3.ITに特化した転職エージェントを利用する
「SES企業かどうか」「また企業の雰囲気はどんな感じなのか」を効率よく判断するには、ITに特化した転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントは求職者に最適な仕事を提案するサービスなので、常に企業と連絡を取り合っています。ITに特化したサービスを利用すれば、IT企業の裏事情について詳しく聞くことが可能です。
例えば、「社員はどんな人が多いのか」「リアルな残業時間はどれくらいか」などの細かい情報も転職エージェントなら知っています。
また、早期離職すると紹介料が入らない仕組みであることから、嘘の情報提供はありませんし、ブラック企業の排除も徹底して行われています。
求職者は無料で利用できるため、少しでも転職を考えているなら相談してみてください。
なぜSES企業・客先常駐は敬遠されやすいのか?
「そもそもなぜSES企業は敬遠されているの?」と気になっている方もいるかもしれません。
SES企業が敬遠されがちなのは、主に以下の3つが理由としてあげられます。
- 多重下請け構造で給料が低いから
- 客先常駐で労働環境が安定しないから
- 研修制度が整っていない企業が多いから
順番に詳しく解説します。
理由1.多重下請け構造で給料が低いから
多重下請け構造とは、クライアントから元請け、2次請け、3次請け……と何層にもわたって仕事を委託していく構造のことです。
IT業界はこの多重下請け構造になっており、SESは企業規模や社員の能力の面から、4次請けや5次請けなど、商流の深い位置で取引を行う傾向にあります。
多重下請け構造そのものが悪いわけではないのですが、問題となるのが「企業による利益の中抜き」です。
多くの企業は「紹介料」として利益を中抜きした状態で発注をします。そのため、商流の深いところに位置するSES企業は「低単価でしか受注できない=社員の給料を上げられない」となってしまうのです。それで「SES=給料が低い」というマイナスな印象がついてしまっています。
ただ、すべてのSES企業が多重下請け構造の犠牲になっているわけではありません。大規模なSES企業であれば高単価案件も扱っていますし、企業努力で社員への還元率を高めているところもあります。
SESでも良い会社は存在しますので、取引先の企業や還元率をチェックしてみてください。
理由2.客先常駐で労働環境が安定しないから
「客先常駐の働き方が合わない」という方もいます。
SESは、案件ごとに働く現場が変わるため、労働環境が安定しません。せっかく構築した人間関係もリセットされますし、使用するツールも客先にあわせる必要があります。
いろいろな職場を経験できることに魅力を感じる方もいます。一方で、環境の変化に対応していくのが苦手な方にとっては「何だか疲れる」と感じるかもしれません。
ただ、SESの中には「自分で案件を選択できる企業」も存在します。自分の働きやすそうな案件を選択できるのであれば、あまり気にならないでしょう。
また自分と相性の良い職場からヘッドハンティングを受けたり、独立に向けた人脈構築をしやすかったり、というメリットのために一定期間SESとして働く方もいます。
理由3.研修制度が整っていない企業が多いから
「SESは研修制度が整っていないから未経験はつらい」という意見もあります。
たしかに未経験で採用されても、研修や教育が実施されないまま客先に派遣されるのであれば困る方が多いでしょう。中には、研修といっても参考書の自習であったり、素人のアルバイトが講師をしていたり……というSES企業もあります。
しかし、そういったひどい現状があるのは、一部のSES企業だけです。口コミやエージェントから企業情報をしっかり確認すれば避けられますので、慎重に選択しましょう。
SES企業・客先常駐も悪くない!6つのメリット
SES企業や客先常駐の働き方は、悪いことだけではありません。
以下に挙げた6つのように、SESや客先常駐で働くメリットもあります。
- 未経験でも働きやすい
- 収入が安定しやすい
- 豊富な案件からスキルや経験を積める
- 大手企業や大型案件に携われる機会がある
- 人脈を広げやすい
- ワークライフバランスを整えやすい
SESは低単価案件が多く敬遠されがちですが、逆に言えば、未経験でも順応しやすい案件が多いのが魅力です。
また、未経験で大企業に入るのは難しい行為ですが、SESであれば客先常駐で大手の有名企業で働けるチャンスがあります。いろいろな企業の開発手法に触れて経験値を貯められるのもメリットでしょう。
SESは、未経験からエンジニアのキャリアを歩み出す第一歩におすすめです。
以下の記事にて、詳しいメリットやSESに転職する際のポイントを解説していますので、少しでも興味のある方はご覧ください。
SES企業・客先常駐でもホワイト企業はある!見分け方9選
SESにも、ホワイト企業はたくさんあります。
以下の特徴を持つ企業なら入社を検討してもいいでしょう。
- 社員の離職率が低い
- 平均残業時間が少ない
- 研修・教育制度が整っている
- 福利厚生が充実している
- 有給休暇の取得率が高い
- 評価制度やキャリアパスが明確にされている
- 社員の平均年収が高い
- 1次請け・2次請けの案件が多い
- SES以外に自社開発もしている
「未経験からホワイト企業に採用してもらえるの?」と疑問があるかもしれません。
しかし、IT業界は人手不足が顕著な業界であるため「教育コストをかけてでも人材がほしい」という状況なんです。しっかり求人を選べば、未経験でもホワイト企業への入社は難しくありません。
詳しくは以下の記事にて解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
SESやITへの転職を実現するならオタクの転職へ
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まとめ:SES企業・客先常駐を見分けてキャリアアップを目指そう
SES企業・客先常駐は、以下の項目で見分けられます。
- 事業内容に「システム・エンジニアリング・サービス」がある
- 勤務地・勤務時間が決められていない
- 必須スキルの記載が曖昧になっている
- 帰社日がある
- 取引先がIT企業しかない
- 社員数に比べてオフィスが小さい
- オフィスで働いている写真がない
- ビジネスパートナー(協力会社)を募集している
- エンジニアを大量募集している
- 契約社員としてエンジニア募集している
現在SESとして働いている方は、ぜひ本記事で紹介した見分け方を参考にして、キャリアアップを目指してみてください。
IT業界が未経験の方は、まずはSES企業からキャリアをはじめるのがおすすめです。客先常駐で実績を積むことでキャリアアップを狙う土台が整います。
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