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SESからフリーランスになるのは正直どう?違いやメリット・デメリットを解説
この記事の内容
SESの報酬は、企業がマージン(手数料)を差し引いた額が支払われます。そのため、経験を積んだ方は「フリーランスになったほうが得するのでは?」と考えるかもしれません。
そこで本記事では、SESとフリーランスは何が違うのか・フリーランスになるとどうなるのかを解説します。
フリーランスになるために必要なスキルや目指す方法も紹介しますので、SESからフリーランスに転身を考えている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
SESとフリーランスの仕事内容は大きく変わらない?
「そもそも、SESからフリーランスになれるのか?」という疑問を持たれるかもしれません。
結論からお伝えすると、SESからでもフリーランスに転身は可能です。
両者で大きく異なる点は「契約業態」であり、フリーランスになっても、今のSES案件と同じ仕事内容・職場環境で働けます。
とはいえ、契約業態が異なることによる細かな違いは生まれます。詳しく見ていきましょう。
SESとフリーランスの違い
SESとフリーランスの異なる点をまとめると、以下の4つが挙げられます。
- 契約業態
- 年収・単価
- 社会保障
- 税金処理
順番に解説します。
1.契約業態
SESとフリーランスでは「契約業態」が異なります。
具体的には以下の通りです。
項目 | 契約業態 | 雇用管理 | 給与の支払い元 | 案件の選択 |
---|---|---|---|---|
SES | 準委任契約 | SES企業 | SES企業 | 企業が割り当てるものから選択 |
フリーランス | 業務委託契約 | 客先企業 | 客先企業 | 自分の好きな案件を選択可能 |
SESの契約はあくまでも企業間同士、フリーランスの契約は個人と企業です。その契約業態の違いにより、雇用主や給料の支払い元、仕事選択の自由度が変わります。
2.単価・年収
SESとフリーランスでは「単価や年収」も異なります。その理由に大きく関わるのが「マージン(手数料)」の存在です。
SESは、雇用主が企業間同士の契約であるため、契約単価から仲介手数料を抜いた金額が報酬となります。
一方、フリーランスはSES企業を通さない契約であるため、契約単価がそのまま自身の報酬となるのです。そのため、SESとフリーランスでは平均年収にも差が生まれます。
項目 | 平均年収 |
---|---|
SES | 300万〜400万円 |
フリーランス | 510万〜620万円 |
SESの単価や年収についての詳細は、以下の記事をご覧ください。
3.社会保障
SESとフリーランスは「社会保障」が異なります。
SESは、会社員として保険・年金(会社の健康保険や国民年金・厚生年金)に加入しますが、フリーランスは個人で保険・年金に加入しなければなりません。
会社で加入する・個人で加入することで生まれる違いは「負担額」です。
項目 | 保険・年金の加入 | 負担額 |
---|---|---|
SES | 会社員として加入 | 会社と折半する |
フリーランス | 個人で加入 | 自分ですべて負担する |
会社の保険や年金は、扶養配偶者の分を支払う必要がないのもメリットです。また、フリーランスは厚生年金に加入できないため、老後にもらえる年金額が会社員よりも少なくなります。
4.税金処理
SESとフリーランスは「税金処理」の手続きにも違いがあります。
SESは会社が手続きをすべて代行してくれるため、税金関連のことは対応する必要がありません(副業をしている場合は除く)。
一方、フリーランスは個人ですべて処理する必要があります。普段から帳簿付けをしたり、確定申告の知識を学んだりする必要があります(税理士に任せることも可能です)。
SESからフリーランスになる際に必要な3つのスキル
SESからフリーランスになるのは難しくありません。しかし、最低限のスキルとして以下の3つが求められます。
- プログラミングスキル
- コミュニケーションスキル
- 営業スキル
1.プログラミングスキル
フリーランスエンジニアとして活動していくには、ある程度のプログラミングスキルが求められます。
SES社員の場合は、会社が案件の契約をするため、未経験またはスキルの低い人材でも参画しやすくなっていました。しかし、フリーランスは個人で契約を勝ち取らなければなりません。
社員の負担軽減、人材不足解消など、いわゆる「即戦力」で募集されているケースが多い傾向にあるため、案件にマッチしたスキルを示せないと、そもそも仕事を取れない可能性があるのです。
スキルを必要としない案件も一定数あるのですが、フリーランスは待機期間の給与保証がありません。収入の安定性を考慮すると、スキルがあまり身についていない状態で独立するのはやめたほうがいいでしょう。
独立するのは、SESの上流工程を経験する・資格を取得するなど、十分に実績を積んでからがおすすめです。
2.コミュニケーションスキル
フリーランスエンジニアは、コミュニケーションスキルも重要です。
SESは自社の上司や営業担当者が間に入ってくれますが、フリーランスは自分が直接クライアント企業とやり取りしなければなりません。
希少性の高い技術がある場合でも、基本的にはコミュニケーションが円滑にできない人材は、案件の確保や継続的な契約が厳しいと言えます。
ただ裏を返せば、コミュニケーションスキルの高い人材は、高度なスキルがなくても案件の確保・継続的な契約、さらには別案件の紹介につながる可能性が高まります。
コミュニケーションスキルというと「社交性」をイメージして難しく考える方もいるかもしれません。しかし、「相手の話をよく聞く」や「報連相をしっかりする」のも重要な評価となるコミュニケーションスキルです。
案件確保は、クライアントに良い印象を持ってもらうことが欠かせません。技術力だけでなくコミュニケーションも学びましょう。
3.営業スキル
フリーランスには、営業スキルも求められます。
SES企業とは異なり、営業担当者がいないため、案件獲得するには自分で売り込みをしなければなりません。
スキルを持っていても、それをクライアントに上手くアピールできなければ案件獲得は厳しいでしょう。また、単価アップに関する交渉力も求められます。
フリーランス向けのエージェントサービスを利用する手段もありますが、仲介手数料を取られてしまうのがネックです。独立した理由が薄れてしまうため、基本は自らの営業力を磨くことをおすすめします。
自社の営業担当者のテクニックを盗んだり、わかりやすいポートフォリオを作成したり、人脈を増やしたりを、普段から意識するといいでしょう。
SESがフリーランスに転身する3つのメリット
SESがフリーランスに転身するメリットは、主に以下の3つが挙げられます。
- 年収アップが期待できる
- 自分で案件を選べる
- 融通の利いた働き方ができる
メリット1.年収アップが期待できる
SESからフリーランスになることで、年収アップが期待できます。
その理由を簡潔にまとめると、以下の3つです。
- 企業にマージンを抜かれない
- 成果ベースで給与が支払われる
- 節税対策ができる
フリーランスは個人で契約を結ぶため、単価からマージンを抜かれることがありません。単価がそのまま報酬となることから、収入アップにつながる可能性が高いでしょう(エージェント利用を除く)。
また、会社員であるSESは、時給ベースで報酬が支払われます。時給ベースは給料が安定する反面、頑張っても金額に反映されにくいのが欠点です。
一方、フリーランスはほとんどの場合、成果ベースで報酬が支払われます。成果物を出さないと報酬を得られないのは欠点ですが、生産性を高めた分だけ報酬として還元されるため、収入アップを目指せます。仕事のモチベーションアップも期待できるでしょう。
「フリーランスは売上が高くても、会社員より高額な保険料や税金を支払わなければならない」という声もありますが、節税対策がしやすいメリットがあります。
なお、会社員は節税ができません。しかし、フリーランスであれば、パソコンやツールなど、仕事に関係するものなら経費として落とせます。在宅ワークであれば、家賃や電気代の数十%を経費にできるため、支出を抑えることができるのです。
上手く節税をすれば、SESのときよりも収入アップにつながるでしょう。
メリット2.自分で案件を選べる
フリーランスは個人で契約をするため、自分で案件を選べるメリットもあります。
SESの社員は、基本的に案件を選べません。嫌な企業や業務であっても、参画しないといけないため、苦しい思いをする方もいるでしょう。
社員にある程度の選択権を与えている企業もありますが、それでも会社が保有する案件の中からしか選べないのがSES社員の苦悩です。
しかし、案件を自由に選べるフリーランスなら、嫌な業務をする必要はありません。自分のやりたいことに合わせた案件選択ができます。
単価を重視した案件、単価が低くてもスキルアップにつながる案件など、時々に応じて柔軟に選べるので納得感を持って働けるでしょう。
メリット3.融通の利いた働き方ができる
フリーランスは、融通の利いた働き方ができるのもメリットです。
例えば、以下のような働き方もできます。
- 朝は遅くまで寝て、昼から働きはじめる
- 半年間無休で働き、残り半年を遊んで暮らす
- プライベートに合わせて、勤務スケジュールを調整する
SESは所属する企業の就業規則や、常駐先の勤務地・勤務時間といった制限の中で働く必要があるため、ストレスを溜める方も多いでしょう。
融通が利く分だけ徹底した自己管理能力が求められますが、自分の好きなタイミングで働ける、ワークライフバランスを充実させやすいのは大きな魅力です。
SESがフリーランスに転身する5つのデメリット
SESがフリーランスに転身するデメリットは、主に以下の5つが挙げられます。
- 収入が安定しない
- 自分で案件を獲得しないといけない
- 上流工程へステップアップできる機会がない
- ボーナスや福利厚生・退職金の制度がない
- 確定申告などの事務処理を自分でしないとおけない
デメリット1.収入が安定しない
独立する最も大きなデメリットは、収入が固定されていない点です。
SESは、会社が常に案件を保有しているため安定して仕事を受注できます。報酬も時給ベースで支払われることから、単価や生産性に関わらず、安定した収入を得られるのも特徴です。
また、スキル不足で参画できる案件がないタイミングでも、給料の6割以上は保証されますし、体調不良で働けないときでも有給休暇を利用できます。
しかし、独立すると自分で案件を獲得しなければなりません。成果ベースで報酬が支払われるため、案件が受注できない、もしくは成果物を提出できない……となれば「収入ゼロ」もあり得るわけです。
「スキルがあれば問題ない」と考えるかもしれませんが、体調不良で働けなかったり、契約先企業の経営悪化で契約解除されたり……という可能性を考慮すると、フリーランスの収入が安定するとは言えないでしょう。
実際、内閣官房による「フリーランス実態調査」でも59%の方が収入の不安定さが障壁であると回答がされています。
デメリット2.自分で案件を獲得しないといけない
繰り返しになりますが、フリーランスは自分で案件を獲得しないといけません。
SESは営業担当者がつく場合が多いため、自分はエンジニアとしてのスキルを磨くことに集中できます。
しかし、フリーランスは営業スキルも合わせて磨く必要があるのです。自分の技術力をわかりやすく伝える力はもちろん、人脈の構築も日頃からしていかなければなりません。
案件獲得をサポートするエージェントサービスもありますが、仲介手数料が取られるため、スキルや経験が浅くて高単価案件を受注できないうちは、SES企業で働いているのと大きく変わらないと言えます。
ITエンジニアの世界は技術の進化が速いです。単価を上げていくには、常に最新技術を学ぶ姿勢が求められます。そのため、スキルや経験が浅いうちは、技術を磨くことに集中したほうがいいかもしれません。
デメリット3.上流工程へステップアップできる機会がない
フリーランスは、上流工程へステップアップできる機会がほとんどありません。
多くの企業では、フリーランスを「即戦力」として採用します。つまり、未経験業務にアサインされることは、まずないのです。
そのため、未経験もしくは下流工程の経験しかない状態で独立しても、下流工程の低単価案件しか受注できないでしょう。
高単価案件を受注するには、要件定義や設計業務などの上流工程の経験が欠かせません。
現時点で上流工程の経験がないなら、まずは会社での実績作りを優先しましょう。
デメリット4.ボーナスや福利厚生・退職金の制度がない
フリーランスは、ボーナス・福利厚生・退職金の制度がありません。
「SESは年収が低いから独立したい」と考える方も多いですが、ボーナスや福利厚生を考慮すると、会社員のままでいるほうが良い可能性もあります。
特に退職金がもらえないため、老後に備えて自分でコツコツと貯金をしなければなりません。
「一生働けば問題ない」と考える声もありますが、いつまで働けるかの保証はないですし、心身の健康維持を徹底できる方でないと難しいでしょう。
もし独立するのであれば、ボーナス・福利厚生・退職金も考慮した上で検討することも忘れてはいけません。
デメリット5.確定申告などの事務処理を自分でしないといけない
フリーランスは、確定申告などの事務処理を自分でしなければなりません。
今までは会社がすべて代行してくれていたため、特に気にしたことがないかもしれませんが、実際に自分ですべて処理すると大変です。
近年では、確定申告をするためのWebサービスも充実してきています。しかし、それでも日々、請求書の作成・領収書の発行や保管・経費精算などの事務処理をするのは手間がかかります。
税理士に依頼するのもお金がかかるため、収入に余裕がない方は現実的ではないでしょう。
SESよりフリーランスに適性がある人の特徴3選
フリーランスのメリット・デメリットを押さえた上で、SESよりもフリーランスに適正がある人の特徴は、以下の3つです。
- SESとして十分な実績を積んだ人
- 営業から自分の実力で案件を獲得できる人
- エンジニアの仕事が好きで勉強が苦にならない人
特徴1.SESとして十分な実績を積んだ人
フリーランスになるタイミングは、SESとして十分な実績を積んだと感じたときがベストです。
SESは収入が安定しているのが魅力ですが、その反面、商流が深い傾向にあることから単価アップや携われる業務にある程度の限界があります。
そのため、SES企業で十分に実績を積み、単価アップ・スキルアップに限界を感じたときが独立するタイミングです。
スキルがあれば、1人でも安定して仕事を受注できますので、まずはSESとして実績を積むことに注力しましょう。
特徴2.営業から自分の実力で案件を獲得できる人
フリーランスは、基本的に自分で営業をしなければ案件獲得ができません。
しかし裏を返せば、自分で営業して案件獲得できる自信があるなら、フリーランスに向いていると言えます。
自分で営業ができれば、企業に仲介手数料を支払う必要がありません。むしろ早めに独立すべきと言っても過言ではありません。
そのため、これから独立を目指すのであれば、自社の営業担当者を観察したり、自分を売り込むための材料を増やしたりと、自力で案件獲得するための準備をコツコツ進めるといいでしょう。
特徴3.エンジニアの仕事が好きで勉強が苦にならない人
ITエンジニアの世界では、常に新しい技術が生まれています。
フリーランスは即戦力としての参画が求められるため、常に新しい技術を学ぶ姿勢がないと生き残っていくのは厳しいでしょう。
しかし、こちらも裏を返せば、「エンジニアの仕事が好き」「新しい技術を学ぶことが楽しい」と感じる方にとっては問題のないことです。
むしろ、下流工程の案件が多いSES企業で働くよりも、培った経験やスキルを存分に活かせるフリーランスのほうが向いていると言えるでしょう。
「エンジニアの仕事が好きで勉強が苦にならない」という方は、ぜひ準備をはじめてみてください。
SESからフリーランスに転身する方法2選
SESからフリーランスを目指すなら、以下2つの方法があります。
- 企業と直接契約を結ぶ
- フリーランスエージェントを活用する
それぞれ詳しく解説します。
方法1.企業と直接契約を結ぶ
一般的なのは、企業と直接契約を結ぶ方法です。
以下のいずれかの方法を実践すれば、企業と直接契約ができます。
- 求人サイトから応募する
- クラウドソーシングサイトから応募する
- 企業のWebサイトから応募する
- 知人から案件の紹介を受ける
直接契約はマージンを抜かれないため、高収入を実現しやすいのがメリットです。
方法2.フリーランスエージェントを活用する
フリーランスエージェントとは、営業活動や企業との交渉を代行してくれるサービスです。
自身の希望やスキル、実績を伝えることで、最適な案件を探し出してくれます。自ら売り込みや交渉をする必要がないため、独立後でもSES社員のように働けるのがメリットです。
仲介手数料がかかりますが、「高単価案件を受注できるスキルがあるけど、案件探しや営業活動が苦手」と感じる方は利用する価値があります。
SESの現状に不満があるなら転職する選択肢もあり
フリーランスはエンジニアとしてのスキルはもちろん、営業力や自己管理力など、多くの能力が求められます。
本記事の内容を読んで「やっぱり自分には厳しいかもしれない……」と感じられた方もいるのではないでしょうか。
しかし、SESの不満を解消できるのはフリーランスになることだけではありません。「転職」によって現状を好転させることもできます。
例えば、以下の通りです。
- 給料に不満があるなら「高還元SES」に転職する
- スキルアップできない環境に不満があるなら「Sler」に転職する
さらにいうと、実はSESの知見やコーディングの技術は、別業界で重宝されやすいんです。SESの転職について解説した記事もありますので、SESの現状に不満をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
SESからの転職ならオタクの転職へ
「SESから転職したいけど、何をしたらいいかわからない」
「自分に合う仕事ってどんなものがあるんだろう」
このような悩みを抱えている方は、ぜひオタクの転職サービスをご活用ください。オタクの転職は年間200人以上のITエンジニア・プログラマーの転職を支援しており、あなたにぴったりな仕事探しをサポートします。
「まだ転職するか決めきれていないけど……」そんな方の相談も大歓迎です。求人閲覧のみの利用もできますので、ぜひお気軽にご活用ください。
まとめ:SESはフリーランスや転職で自身に合ったキャリアを選ぼう
SESからでもフリーランスになることは可能です。契約業態が異なるだけで、そのまま客先常駐で働けます。
ただし、フリーランスになると、すべてが自己責任になります。案件獲得からスケジュール管理、事務処理まで自分ですべてをこなさなければなりません。
フリーランスは自由で収入も青天井、と輝いた部分が目立ちがちですが、実は泥臭い部分がたくさんあります。
SESの不満は転職でも解消できますので、ぜひもう一度、本記事を読み返して最適な選択肢を探してみてください。