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SESに将来性はない?その真相と企業選択のコツを解説
この記事の内容
SESは、エンジニア未経験でも働きやすいのが魅力です。IT業界に就職や転職を考えているのなら、まずはSESエンジニアを目指すのが得策でしょう。
しかし、SESや客先常駐の将来性を不安視する声がたびたび見受けられます。そのようなマイナス意見から、今後のキャリア選択を悩まれている方もいるかもしれません。
結論からお伝えすると、SESの将来性は明るいといえます。SESや客先常駐に対するネガティブ意見は「企業選択を間違えただけ」であり、業界全体に言えることではありません。
本記事では、SESの市場規模や企業選びのポイントを解説します。
読み終える頃には、SESの将来に対する不安が払拭されますので、ぜひ最後までご覧ください。
SES業界の現状から将来性を考察
冒頭でもお伝えした通り、SESの将来性について不安視する必要はありません。その理由を以下2つの観点から考察していきます。
- SES業界の市場規模
- SESエンジニアの需要
SES業界の市場規模は伸び続けている
マーケティングリサーチ機関の矢野経済研究所が2024年に発表したデータによると、「デジタル人材育成サービス」「デジタル人材派遣サービス」「デジタル人材紹介サービス」の3市場は、2019年から2024年にかけて伸び続けています。
年度 | 市場規模(億円) |
---|---|
2019年度 | 9,090 |
2020年度 | 9,713 |
2021年度 | 10,606 |
2022年度 | 11,754 |
2023年度 | 12,720 ※見込み |
2024年度 | 13,555 ※予測 |
参考:矢野経済研究所「デジタル人材関連サービス市場に関する調査を実施(2024年)」
SESは「デジタル人材派遣サービス」「デジタル人材紹介サービス」に含まれるため、上記のデータから業界の将来性は問題ないといえます。
実際、IPA情報処理推進機構の「DX動向2024」によると、DX(デジタルトランスフォーメンション)化に取り組んでいる日本企業は2021年度から2023年度にかけて約18%増加しています。
このような企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化は、今後も加速していくと予測されており、エンジニアを派遣するSES業界は右肩上がりに成長していくでしょう。
SESエンジニアの需要は拡大している
経済産業省が行った「IT人材需給に関する調査」によると、2030年には最大79万人のIT人材が不足すると予測されています。
多くの企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めていますが、それに対応するエンジニアの供給が追いついていない状況です。そのため、エンジニアのスキルを短期間だけ提供するSES企業は、今後ますます重宝されていくでしょう。
このように、SESの市場規模やエンジニアの需要から見ても将来性は問題ありません。エンジニアに憧れを抱いているのなら、未経験者でも積極的に採用しているSES業界を目指すのがおすすめです。
SESに将来性はないと言われる原因とその真相
では、なぜSESの将来性を不安視する声が上がっているのでしょうか。その原因は、主に以下の3つが挙げられます。
- 年収アップがあまり期待できない
- スキルアップしにくい案件が多い
- 若い人材が優遇されやすい
順番に見ていきましょう。
原因1.年収アップがあまり期待できない
IT業界は多重下請け構造になっており、SESはその下層に位置する傾向があります。
中には、4次請けや5次請けの案件ばかりを扱う企業もあり、そういった下請けすぎる案件はほとんど利益が見込めません。よって、SESは年収アップが難しいと言われています。
とはいえ、1次請け案件を扱うSES企業もたくさんあります。企業選びを慎重に行えば、SESでも年収アップは期待できるでしょう。
また、SESの平均年収推移はそこまで低いものではありません。
求人情報サービスのdodaが行った「ITエンジニアの職種別の平均年収」を見ると、下流工程にあたる「運用/監視/保守」でも40代の平均年収は535万円となっています。
同じくdodaが行った「年齢・年代別に見る日本の平均年収」によると、40代の平均年収は511万円でした。もちろん、あくまでも参考値ではありますが、SESの年収推移が特別悪いわけではありません。
原因2.スキルアップしにくい案件が多い
SESはシステムの運用や保守など、下流工程(簡単な仕事)の案件が多くなります。
だからこそ未経験者でも採用の間口が広いのですが、下流工程ばかりをこなしていてもスキルは身につきません。その結果、キャリアアップの機会が訪れず、将来に不安を抱いてしまうエンジニアも少なくないでしょう。
しかし、スキルアップについても企業選びで大きく左右されます。
エンジニアを大切にする優良企業は、社員の離職を防ぐために「研修や教育制度」を整えているところが多いです。また、技術のある先輩エンジニアと一緒に参画させて成長を促してくれるケースもあります。
SESでも企業によって環境は異なりますので、正しい企業選びをすることが重要です。
原因3.若い人材が優遇されやすい
SES業界は「年齢が上がるにつれて案件を受注しにくくなる」と言われています。
なぜなら、若いエンジニアの方が安い単価で依頼できるからです。下流工程の業務は特別なスキルがなくてもできるため、多くの企業は若いエンジニアに任せたいと考えます。そのような背景から、SESの将来性を不安視する声もよく上がっています。
しかし、このSESの年齢問題は「若いエンジニアと同じ業務しかこなせない場合」に限った話です。優良企業に入社すれば、スキルアップの機会を設けてくれたり、上流工程の案件を紹介してくれたりします。また、役職や管理職に昇進するのが一般的でしょう。
もちろん自ら努力する姿勢は不可欠ですが、それはSESだけでなく、すべての業界に言えることです。正しい企業選びをし、真剣に働いていれば、年齢を重ねても問題ありません。
将来性があるSES企業に共通する特徴4選
ここまで、SESの将来性は「企業選び」で大きく左右されるとお伝えしてきました。では、具体的にどのような企業を選ぶべきなのでしょうか。
将来性を期待できる企業には、共通して以下4つの特徴があります。
- 教育や研修制度が整っている
- 評価基準が明記されている
- 上流工程の案件を保有している
- SES以外の事業も行っている
順番に見ていきましょう。
特徴1.教育や研修制度が整っている
SESエンジニアとして長く働くには「スキルアップ」が欠かせません。
スキルアップができないと下流工程の案件にしか携われないため、将来性に不安を感じたエンジニアは離職してしまいます。
よって、エンジニアを大切にしている企業は、未経験からでも長く働けるように教育や研修制度を整えているわけです。
エンジニアがスキルアップをすれば、企業としても高単価な案件を受注できる可能性が高まります。きちんと社員を育成できる企業は将来も明るいでしょう。
特徴2.評価基準が明記されている
企業が成長していくには「優秀なエンジニアの定着」が不可欠です。エンジニアを育成してもすぐに離職してしまえば、高単価案件の継続受注につながりません。
SESエンジニアの離職理由に「正当な評価をされていないから」がよく挙げられます。これは現場に上司がいない客先常駐の問題点から生まれる不満です。
そのため、エンジニアに定着してほしいと考える企業は、評価基準を明確に設けています。例えば以下の通りです。
- あらかじめ目標設定をして「達成度合い」を評価する
- 案件ごとの単価を公開して「単価金額」を評価する
- こまめに面談をして「勤務状況や習得スキル」を評価する
このように評価基準が明確にあると、エンジニアは不満や不信感を抱きにくいでしょう。スキルアップのモチベーション維持もできます。
評価制度が明記されているSES企業は、スキルの高いエンジニアが定着しているため、今後も成長し続ける可能性が高いといえます。
特徴3.上流工程の案件を保有している
下流工程の案件は、多重下請け構造の下層部にあたるため、ほとんど利益が見込めません。よって、エンジニアに還元される報酬も少なくなってしまいます。
自主学習でスキルアップをしても、企業が上流工程の案件をあまり扱っていなければ、年収アップは期待できないでしょう。
そのため、企業の将来性を確認するには「上流工程の案件を保有しているか」が重要です。
上流工程とは、主に以下の業務のことを指します。
- 要件定義:クライアントから導入したいシステムの内容を聞き取り、落とし込む工程
- 設計:要件定義をもとにした仕様書や設計書を作成する工程
上流工程の案件は、高度なスキルが求められます。しかし、それだけ高単価なのでエンジニアの報酬にも還元されやすいです。上流工程をたくさん扱うSES企業は、長く働き続けられるでしょう。
特徴4.SES以外の事業も行っている
SES事業だけでも企業成長は見込めますが、2次請け・3次請け以降の案件が多くなるため、どうしても成長には限界があります。
そのため、より高い将来性を求めるなら、受託開発や自社開発などSES以外の事業も展開しているかも確認しましょう。
受託開発や自社開発事業も展開している企業なら、SESとして十分に実績を積んだエンジニアを異動させてくれる可能性があります。
異動できれば、エンジニアとしてさらなる成長が可能です。さらに、自身のキャリアプランに合わせて働き方を変えられるため、長く働きやすい企業といえます。
将来性がないSES企業の特徴4選
SESの将来性に対するネガティブな声は「企業選びに失敗しただけ」とお伝えしました。
では、具体的にどのような企業を避けるべきなのでしょうか。以下4つのいずれかにでも当てはまるなら、将来性は期待できません。
- 下請けすぎる案件ばかり保有している
- エンジニアと関係のない仕事を任される
- 待機期間中の給与が大幅にカットされる
- 未経験のエンジニアばかり採用している
順番に見ていきましょう。
特徴1.下請けすぎる案件ばかりを保有している
4次請けや5次請けなど、下請けすぎる案件が多いSES企業に将来性は期待できないでしょう。理由は以下の通りです。
- 下請けになるほど中間マージンが発生して低単価案件になる
- 低単価案件はルーティン作業が多くスキルアップにつながらない
- 納期に追われる業務が多く労働環境があまり芳しくない
つまり、劣悪な環境で働き続けることになります。未経験のうちはある程度割り切る気持ちも必要ですが、いつまでも下請け案件ばかりでは離職につながるだけでしょう。
また、下請けすぎる案件しか受注できないのは、企業が教育や研修体制を整えていない証拠とも言えます。エンジニアを大切にしているとは言い難いため、避けるのが無難です。
特徴2.エンジニアと関係のない仕事を任される
未経験で入社したエンジニアに「研修期間」と称して、家電量販店やコールセンターに配属するSES企業も存在します。
当然ですが、両者ともにエンジニアと関係のない業務であるため、SES案件をこなせるほどのスキルは身につきません。研修期間を終えても「紹介できる案件がないから……」と再び関係のない業務を任されるだけです。
このような企業はエンジニアを育成する気がなく、目先の利益だけを考えています。離職率が高まるため、将来性のある企業ではないでしょう。
特徴3.待機期間中の給与が大幅にカットされる
SESとして働いていると、次の案件参画が決定するまで待機期間が発生する場合があります。
経験が浅いうちは参画できる案件が絞られるため、待機期間の発生そのものは問題ありません。しかし、待機期間に給与が大幅にカットされるのであれば、将来性を疑うべきです。
なぜなら、企業の営業力が低い可能性が高いからです。優良企業でも待機期間が発生することはありますが、案件がたくさんあるため長期間には及びません。よって、給与も満額支給されます。
一方で、営業力の低い企業は、案件がなかなか取れないことから、待機しているエンジニアの給料を少しでも抑えようと考えます。そのような企業に属していても将来性は期待できないでしょう。
なお、待機期間中の社員は「休業扱い」にできるため、給与をカットすることは違法になりません。労働基準法(第二十六条)によって4割まではカットできます。
ただ「待機期間の発生=営業の責任」ですので、エンジニアを大切にしている企業が起こす行動ではないでしょう。
特徴4.未経験のエンジニアばかり採用している
SESでは、未経験者を積極的に採用している企業がたくさんあります。これからエンジニアを目指す方にとってはありがたい存在でしょう。
しかし、その未経験採用の数があまりにも多い場合は、将来性について考える必要があるかもしれません。なぜなら「未経験採用が多い=離職者が多い」という疑いもあるからです。
事業拡大にともなう増員の可能性も十分にありますが、それでも未経験者でもできる下流工程の案件が多いのは間違いありません。
そのため、将来性のある企業かどうか疑いがある場合は、離職率や在籍しているエンジニアの年齢層などを調査することも重要です。
将来性の高いSES企業への転職を実現する方法
ここまでSES企業の良し悪しを紹介しました。
しかし、初めての転職活動(就職活動)である場合「本当にこの企業でいいのか」「どのような選考対策をすればいいのか」など不安なことだらけかもしれません。
求人情報だけでは判断が難しいですし、インターネットにある情報や口コミは信憑性に疑いのあるものも多いです。
そこで、将来性の高いSES企業に入社できる可能性を少しでも高めたいなら「IT特化の転職支援サービス」の利用をおすすめします。
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まとめ:SESは将来性も問題なし!良好な企業でキャリアをスタートしよう
SESはエンジニア未経験からのキャリアアップを目指す場として、これ以上ない存在です。しかし、その将来性は「企業選び」によって大きく左右されます。
もし将来性のない企業に入ってしまうと、思い描いていたキャリアプランが台無しになるかもしれません。そのような失敗を避けるためには、IT業界に精通したプロの意見を取り入れることが重要です。
理想のエンジニアキャリアを歩むためにも、最初の第一歩を間違えないようにしましょう。