2024/09/30
  • IT転職

    SESの案件ガチャとは?ハズレ案件を回避したい・抜けたいときの対策も解説

    SES界隈の中でよく飛び交うワードに「案件ガチャ」があります。

    この案件ガチャは、ネガティブな意味で使用されることが多く、これからSESを目指している方は知見を深めておきたいところでしょう。

    そこでこの記事では、そんなSESの案件ガチャの良し悪しを徹底解説します。案件ガチャに振り回されないための対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

    SESの案件ガチャとは?

    SESの案件ガチャとは、参画する案件の内容が運次第で決まってしまうことを指します。

    基本的に、SESの案件はエンジニア自身で選べません。ある程度の希望は聞いてくれるものの、詳細は実際に配属されてみないとわからないことが多いです。

    そのため、自分がやりたい業務でなかったり、常駐先の企業が合わなかったり……いわゆる「案件ガチャにハズレた」という意見が飛び交うこともあります。

    もちろん「案件を選べない=ブラック企業」というわけではありません。別業界でも配属先・仕事内容・上司などの最終決定権はあくまでも会社側にあります。

    ただ、あまりにも劣悪な環境ばかりに配属される場合は、所属企業の変更を検討しましょう。

    SESの案件ガチャが発生する背景

    「なぜSESでは案件ガチャが発生するのか?」と気になる方も多いかもしれません。「案件を選ばせてくれれば不満の声は上がらないのでは?」と思うところでしょう。

    案件ガチャが発生する背景には「SES事業のビジネスモデル」があります。

    SES事業は、エンジニアが不足している企業に対して、自社の人材を提供して利益を得るビジネスモデルです。つまり利益を上げるために「1人でも多くのエンジニアに常駐してもらいたい」「それもできるだけ単価の高い案件に入ってもらいたい」と考えています。

    そのため、本人の意思よりも「単価優先」で常駐先を決められることがあるのです。

    また、やりたい業務があっても「所属企業がその案件を取り扱っていない」というケースもあります。近年は案件選択制度を設けている企業もありますが、選択肢に希望案件がなければ案件ガチャと変わらないでしょう。

    よってSESエンジニアとして働くのなら、案件ガチャを受け入れる気持ちも大切です。

    SESの案件ガチャにハズレた事例4選

    案件ガチャの当たりハズレは人によって評価が異なります。

    しかし、以下4つの事例は明確なハズレ案件です。参画した場合は、無理せず案件変更を申し出ましょう。

    1. スキルのミスマッチで業務についていけない
    2. スキルアップが見込めない業務を任される
    3. 炎上プロジェクトで勤務時間を強制される
    4. クライアントの質が低く心身が病んでしまう

    順番に解説します。

    ハズレ事例1.スキルのミスマッチで業務についていけない

    上流工程や最新技術を扱う案件では、高単価やスキルアップが期待できます。しかし、業務についていけないとハズレ案件になるでしょう。

    このようなミスマッチは、以下2つの要因から起こります。

    1. 営業担当者がエンジニアのスキルを見誤っていた
    2. 契約を取るためにスキルシートの内容を捏造した

    SESは案件参画前に、クライアント企業とスキルの確認をするのが一般的です。しかし、数分の面談だけではわからない点もお互いにあります。

    高単価案件を取るためや、未経験者をアサインするために、スキルシートの内容を捏造させる企業も珍しくありません。特に1ヶ月しか経験していない業務を「3ヶ月経験」のように盛ってしまうことはよくある事例です。

    スキルシートの捏造で案件が決まっても苦しいだけです。もし捏造を強要される場合は、所属企業の変更をしましょう。

    ハズレ事例2.スキルアップが見込めない業務を任される

    経験が浅いエンジニアなら、テスト業務のような簡単な案件から入るのは仕方ありません。

    しかし、いつまでもテスト業務ではスキルアップができません。よって年収アップを目指すなら、スキルアップが見込めない案件もハズレ案件扱いになります。

    特に以下2つの案件は「エンジニアと関係のない業務」なので、すぐにでも抜けることをおすすめします。

    • エクセルで資料作成ばかりを任される
    • 家電量販店やコールセンターに配属される

    こういった業務は「研修」という名目で任されるケースが多いのですが、エンジニアとしてのスキルが身につきません。いつまでもエンジニア業務ができない可能性が高いでしょう。

    ハズレ事例3.炎上プロジェクトで勤務時間を強制される

    炎上プロジェクトとは、納期に間に合わせることが難しい状況に追い込まれているプロジェクトのことです。

    炎上プロジェクトにアサインされると、長時間残業や休日出勤ばかりのスケジュールになります。毎日仕事に追われる日々が続くため、ミスも連発してしまうでしょう。

    さらに、責任者やメンバーも疲弊していることから、殺伐とした雰囲気の中で業務をこなさなければなりません。わからないことを質問しても邪険に扱われます。

    中には「炎上案件を楽しむ」という考えのエンジニアもいますが、心身の健康を考えると案件の変更を検討すべきでしょう。

    ハズレ事例4.クライアントの質が低く心身が病んでしまう

    クライアントの中には、SESエンジニアを見下していたり、自分と性格が合わないことから高圧的な態度で接してきたりする人もいます。

    また、1人で客先常駐をしているSESエンジニアに対して、無理難題な業務を指示してくるケースもあります。

    どんな仕事でも多少の我慢は求められますが、あまりにも質の低いクライアントなら案件変更をするべきでしょう。心身を病んでまで仕事をする必要はありません。

    なお、SES業界において「1人客先常駐」は違法行為と見なされています。偽装請負が起こりやすいからです。よって、所属企業が1人客先常駐をさせる場合は、なるべく早めに転職を検討しましょう。

    SESの案件ガチャでハズレを引きやすい企業の特徴3選

    案件ガチャでハズレを引きやすいSES企業には、共通する特徴があります。

    志望企業あるいは所属企業が、以下3つに当てはまるなら避けるための行動を起こしましょう。

    1. 教育や研修制度が整っていない
    2. 下請けすぎる案件が多い
    3. 面談で経歴詐称を強要してくる

    順番に解説します。

    特徴1.教育や研修制度が整っていない

    未経験採用をしていても、教育や研修制度を整えていないなら入社を控えましょう。

    エンジニア未経験で入社すると、最初はテスト業務のようなスキルを必要としない案件しかこなせません。

    そのため健全な企業であれば、社内研修を行ったり先輩エンジニアと一緒に案件参画させたりと、スキルアップを促すための取り組みが整備されています。

    つまり、教育や研修制度のないSES企業は「スキル不要の案件」しか取り扱っていない可能性が高いです。雑用やエンジニアと関係のない案件しか紹介されないでしょう。

    特徴2.下請けすぎる案件が多い

    4次請けや5次請けのような、下請けすぎる案件が多い企業もおすすめしません。

    なぜなら「企業の営業力が弱い」可能性が高いからです。

    IT業界は多重下請け構造になっており、商流が深い案件ほど利益が少なくなってしまいます。そのため、1次請けや2次請け案件を受注するには、高い競争率を勝ち抜けるだけの営業力が求められます。

    もし4次請けや5次請けしか受注できていないのなら、自社にレベルの高い営業がいない、つまりは「この先も当たり案件を獲得できる可能性が低い」といえるでしょう。

    「努力して上流工程の案件に参画したい」という志を持っていても、そもそも所属企業が上流工程の案件を取り扱っていなければ選べません。何度ガチャを引いても当たりに出会えないため、当たりを引ける場所に移動するのが賢明です。

    特徴3.面談で経歴詐称を強要してくる

    言うまでもありませんが、面談やスキルシートで経歴詐称を強要してくる企業は離れるべきです。

    経歴詐称をすれば、質の高い案件に参画できるかもしれません。しかし、業務についていけなければスキルアップは期待できないでしょう。現場に迷惑をかけた事例から、その企業に発注するクライアントも減少するはずです。

    エンジニアを大切にしている企業ともいえないため、経歴詐称を強要された場合は、速やかな転職活動をおすすめします。

    SESが案件ガチャにハズレて抜けたいときの対処法

    SESはビジネスモデルの都合上、案件ガチャを避けられません。案件ガチャのハズレは誰もが経験することでしょう。

    もし案件ガチャにハズレて抜けたいと感じたら「営業担当者もしくは直属上司」に相談してみてください。理由を伝えれば、1ヶ月後を目安に案件の変更をしてくれます。

    なお以下の記事では、スムーズに案件を抜けるコツ・確認事項などを解説しています。詳細を知りたい方はぜひ参考にしてください。

    SESの案件ガチャにはメリットもある

    デメリットばかりが目立つ案件ガチャですが、実はメリットもあります。

    ここからは、SES案件ガチャのメリットを3つ紹介します。

    1. 新しい技術に触れるきっかけになる
    2. さまざまな企業の人と交流を持てる
    3. 出張先の観光地やグルメを楽しめる

    メリット1.新しい技術に触れるきっかけになる

    自分の知らない技術を扱わなければならない案件もあります。業務がスムーズに進まないため「案件ガチャにハズレた」と感じる方が多いかもしれません。

    しかし、これを「新しい技術を学ぶチャンス」と捉える方もいます。業務を進めるのは大変かもしれませんが、試行錯誤することでスキルアップを実感できるはずです。

    案件を通じてスキルアップをすれば、携われる案件を効率的に増やしていけます。IT業界は技術の進歩が速いため、新しい技術を積極的に学ぶ姿勢はとても大切です。

    また、SESは成果物に対して責任を負わない契約形態です。他のエンジニアよりも気楽に働けるのも楽しめるポイントでしょう。

    メリット2.さまざまな企業の人と交流を持てる

    SESは契約ごとに常駐先が変わるため、人間関係においても案件ガチャ要素があります。短期間で何度もゼロからの人間関係構築を求められるのは大変かもしれません。

    しかし、これも「多くの人と交流を持てる」とポジティブに変換可能です。多くの人と交流を持つことは、単純な楽しさだけでなく、ヘッドハンティングや仕事紹介のきっかけにもなります。将来的にキャリアアップや独立を目指しているなら、大きなメリットではないでしょうか。

    「人と話すのは苦手だから……」という方もいるかもしれませんが、少子高齢化社会によって、クライアントは若いエンジニアに興味を持っています。よって相手の方から話しかけてくれたり、食事に誘ってくれたりするケースが多いです。

    IT業界のさまざまな人脈形成ができるのは、客先を転々とするSESならでは魅力でしょう。

    メリット3.出張先の観光地やグルメを楽しめる

    案件ガチャによって、自宅から遠い企業に常駐しなければならない経験をするかもしれません。特に常駐先が県外にあると、数週間から数ヶ月の長期出張になる場合があります。

    そんな出張が発生した場合は、「その土地の観光やグルメを楽しむ」という方も多いです。趣味によっては、スポーツ観戦ライブ鑑賞も楽しめるでしょう。

    近年はリモートワークの普及で出張が減少していますが、システム導入やトラブル対応のような業務では出張が発生するかもしれません。

    最新技術や人間関係も含めて、新鮮さを求める方にとってSESは向いている職種といえます。

    SESが入社前にできる案件ガチャ対策2選

    案件ガチャは楽しい要素もありますが、質の悪い案件はなるべく回避したいところです。

    そこで、SESの案件ガチャ対策を入社前後に分けて紹介します。以下の2つは「入社前」にできる対策です。

    1. 企業の取引先を確認する
    2. 案件選択制度について尋ねてみる

    それぞれ解説します。

    入社前にできる対策1.企業の取引先を確認する

    そのSES企業がどんな案件を取り扱っているかは「取引先」によってある程度の確認ができます。

    • 自分の希望する案件を保有する取引先はあるか
    • 3次請け以下の取引ばかりしていないか

    このような確認をすれば、案件ガチャの当たりハズレによって振り回されることが減ります。特にやりたい業務があるなら、入社後に取引がないと気がついても遅いため、必ず確認しておきましょう。

    インターネットで把握できない場合は、IT業界に特化した転職サービスを活用するのがおすすめです。

    入社前にできる対策2.案件選択制度について尋ねてみる

    企業によっては、エンジニアが自由に案件を選べる制度を設けているケースもあります。

    経験の浅いうちは難しいかもしれませんが、「スキルアップに応じて案件選択ができるかどうか」を確認しておくとモチベーションになるでしょう。

    ただし「できるだけ本人の意思を尊重します」「会社が選ぶこともあります」のような回りくどい返答の場合は、結局選べない可能性もあるため注意してください。

    また、案件選択制度があっても「そもそも選べる案件が少ない」というケースもありますので、やはり取引先の確認はしっかりするのがおすすめです。

    SESが入社後にできる案件ガチャ対策2選

    すでに入社している場合でも、案件ガチャ対策はできます。

    「入社後」にできる対策は、以下の2つです。

    1. 営業担当者に希望をはっきり伝える
    2. 自主的にスキルや資格の習得をする

    それぞれ解説します。

    入社後にできる対策1.営業担当者に希望をはっきり伝える

    案件ガチャで失敗するのは、「営業担当者がエンジニアの希望やスキルを把握していない」というのも要因として挙げられます。

    そのため、まずは営業担当者に自分の希望や努力のアピールをしてみてください。

    • 〇〇の案件に挑戦したいです。
    • 将来的に〇〇ができるようになりたいです。
    • 〇〇の資格を取りました。活かせる案件はありませんか?

    このようにアピールをすれば、その希望に沿った案件を取ってきてくれるかもしれません。意欲があっても伝わっていない可能性がありますので、隠さずに自ら発信しましょう。

    入社後にできる対策2.自主的にスキルや資格の習得をする

    希望する案件があっても、そこに参画できるだけの力を持ち合わせていないと案件ガチャになってしまいます。

    そのため、自らスキルや資格を習得する努力もときには必要です。営業担当者に努力していることが伝わると、関連する案件を紹介してもらえる可能性もあります。

    SESは他のエンジニアと比較して残業が少ない傾向にありますので、キャリアアップを目指すなら自主学習もしていきましょう。

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    Screenshot

    SESの案件ガチャは、優良企業に入社することで当たりハズレの振れ幅を小さくできます。

    SESにおける優良企業とは、営業力育成力がある企業のことです。優良企業に入社できれば、案件ガチャに振り回されることを回避できるでしょう。

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    まとめ:SESは努力で案件ガチャの当たりを引く確率を高めよう

    SESと案件ガチャは切り離せない関係性です。とはいえ、企業選びを慎重に行うことで、案件ガチャの失敗率は大きく下げられます。

    教育制度がしっかりしていたり、良質な案件を多数取り扱っていたりする企業に入社できれば、案件ガチャの中でも満足に働けます。

    未経験からのエンジニア転職はほとんどSESしか選択肢がありません。よって明るいエンジニアキャリアを歩むためにも、良質な案件ガチャを回せるSES企業を目指しましょう。